この学校いっつも変わった植物生えてんな。
大麻が生えたりトリカブトが生えたり、校内が広いだけあって話題に事欠かない。
バイカルハナウドはGiant Hogweedとも呼ばれるみたい。大きなハナウドか。
Hogweedはブタクサのような、硬い毛におおわれた植物の総称としても使われるみたい。
原産はコーカサス山脈辺り。

ヨーロッパではその豊富な栄養素から飼料として持ち込まれたが、強い毒の成分が判明してからは全面的に禁止。
しかし繁殖力が強く、今も生息域が広がり続けているらしい。
駆除のために刈り取った幹に塩大量にぶっかけているのが印象深い。確実に殺す強い意思を感じる。
毒性成分はソラレン。植物に広く含まれており、特に柑橘類に多い成分だ。
単体では問題ないが、太陽光などの紫外線を浴びると光毒性を示す。
というのもソラレンには紫外線を増幅する機能があるのだ。
通常だと紫外線を浴びても大体は皮膚の表面で吸収してくれる。
しかしソラレンが皮膚に浸透した状態だと、皮膚の深いところでこの増幅作用が起き、より内部が傷ついてしまうっぽい。
なるほど、主症状が水ぶくれなのは皮膚の深いところで細胞が壊れ、浸出液が漏れ出てしまうからなのか。
このソラレン、バイカルハナウドの樹液に多く含まれているのか。
しかも樹液量が多いみたいで、慎重に切り落とさないと辺りに飛び散るらしい。
もし皮膚についてしまったら、冷たい流水と石鹸で洗い流し、患部を光に当てないことが大事みたいね。
このソラレンが樹液に含まれているなら、オスの蚊など樹液を吸う生物にどう作用するのだろうか。
もし毒が体内に残り続けるなら、その生物を捕食するなどで体液に触れた場合に二次被害が広がってしまう。
調べたところどうも光分解性があるみたいで、光を照射し続けると分解されるっぽい?
しかし残念なことに、どう分解されるとか本当に無毒化されるのかといった内容を見つけられなかった。
英語論文を探せばあるのかもしれないけど......
まあ少量とはいえ普段の食事でも口にする物質みたいだし、時間をかければ無毒化されるのでしょう。
なんなら地域によっては漁に使われることもあるみたいだ。
少なくとも二次被害に関してはそこまで気にしなくてもよさそうな気がするわね。
ちなみにこのソラレン、PUVA療法という紫外線照射して患部を直す治療に使われているみたい。
主に皮膚病に使われ、患部にソラレンを使った薬剤を散布し紫外線を当てることで病原体を殺すやり方だ。
毒は薬にもなるのねえ。
がん細胞に光マーカーをつけて見やすくしようとしたら、そのままがん細胞を殺しちゃった話を思い出してしまった。
これも光分解性が関係していたんじゃなかったっけ。
とりあえず近づかないようにすれば安泰かな。
気付かぬうちに樹液が飛び散ったら分からんしな。まず雨が降ったのかと疑うでしょ。